輪廻(前編)

2021年  1月  1日

 

早いもので

『絵師ごと屋』も

今日で3周年を迎えました

 

 

今まで

絵をオーダーして下さった皆様

 

活動を応援して下さり

見守って下さる皆様

 

本当に、心から

ありがとうございます

 

 

例年であれば、

今年の活動への抱負や

創作の新しいビジョンなど

宣言と共に綴るところなのだけど

 

 

今日は、私の

個人的な想いを

記録したいと思います

 

 

長くなるかもしれないけど

 

今の、想いを

今の、リアルを

ある人のために

書き残しておきたいのです

 

書きながら

自分の心を

整理してみたいのです

 

 

これは

私と妹の

連名の手記のようなもの

です

 

 

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どこから

書いたら、いいのかな

 

やっぱり

最初からかな

 

心のまま

自由に綴ってみよう

 

まとまらなくても

 

 

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2020年 12月 23日

 

クリスマス・イブの前日

 

 

この日はなぜか

 

私の胸の内側で

『何か』が

パンパンに膨れ上がるような

感覚がありました

 

 

その

パンパンに膨れ上がった

『何か』を

 

外に出さないと

 

どうにかしないと

苦しくて

 

破裂するように

 

昇華させるように

 

絵を描きました

 

 

パステルをメインに

色鉛筆で微調整しながら

 

 

遅筆な私が、

その時は2日で

勢いのままに描き上げました

同じ

絵というフィールドで表現活動をする

アーティストの友達は

『これってオマサちゃんの中だよね』

と、言ってくれて

 

 

私も

同じように感じていたので

 

私の中から

突然生まれてきたこの絵を見て

わかってくれるひとがいて

とても嬉しかった

 

 

ただ、なぜか

描き上げても

ピンとくるタイトルは

未だ降りてきませんでした

 

 

私の創作する絵において、

タイトルは

その絵を収める額縁と同じくらい

ひとつの世界を形成する上で

大切なのです

 

 

描き終えても

タイトルが降りてこないことに

一抹の不思議さを感じていました

 

 

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この絵を描き上げた

25日、クリスマスの夜

 

実家の父が倒れて

救急車で運ばれたと

母から連絡がありました

 

 

 

79歳になる父は、

実家で母と二人で

暮らしていて

 

肺に大きな持病を抱えていたものの

健康に気を配りながら

元気に生活していました

 

 

父が救急搬送された病院に

私たち夫婦、弟夫婦、妹が

それぞれに駆け付けた時には

もう間に合わず

意識が戻ることはありませんでした

 

急性心筋梗塞でした

 

 

 

クリスマスの翌 26日には

弟夫婦が、

その翌 27日には

私たち夫婦が、

実家を訪ねることになっていたのに

 

最後に

言葉を交わすこともできなかった

 

 

あまりにも

急すぎるお別れでした

 

 

誰も

心の準備なんてできていなくて

 

ただただ

家族で寄り添って

突然の出来事を

夢を見ているみたいに

感じていました

 

 

お父さん

どうしてクリスマスの日を

旅立ちに選んだの?

 

 

なにもそんな日を選ばなくても

みんな

お父さんのこと忘れないのに

 

 

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父は、

その日は

母と散歩に行って

 

年末年始のお飾りや

食材を

母と買い出しして

 

夕方には台所に立ち

カレーを作っていたそうです

 

 

九州男児で大工職人だった父は

なかなかの頑固親父でもあったので

(心は優しいのよ)

私たちが実家にいた頃は

台所に立ってお料理なんて

考えられない人だった

 

 

でも最近は、

ミシンのお仕事で

内職する母を気遣って

 

時々お皿を洗ったり

カレーを作ったり

楽しんでやっていたようでした

 

 

いろんな手続きを終えて

深夜に実家に帰りつき

眠れぬ夜を過ごした翌朝

 

母と私と夫と妹の4人で

父が作ってくれたカレーを

みんなで泣きながら食べました

 

 

こうなることが

父の魂は

どこかでわかっていたのかな

 

人生の最後に

みんなに自分の手料理を

振舞いたかったのかな

 

 

そんな風に思うくらい

お鍋いっぱいに作ってくれた

父のカレーは

 

具が食べやすく細かく刻んであって

意外とスパイシーで

びっくりするくらい美味しかった

 

      

お父さん

 

お父さんの作ったカレー

初めて食べたよ

 

 

すごく上手だったよ

本当に美味しかったよ

 

ありがとうね

ごちそうさまでした

 

 

 

 

(後編へ続く)